事典エイト - 新興宗教への警告 - 第2章 魔術が栄えると国が滅びる

ノストラダムス

100ずつの不吉であいまいな4行詩が書き連ねてあるノストラダムスの預言集のことは前にもお話ししました。 彼は16世紀の南フランスの人で彼の時代はルターやコロンブス、 コペルニクスよりも1時代あと、日本では戦国時代の後半にあたります。 彼はイタリアのボローニャ大学で学んでいたようですが、 家庭の事情で退学して医者となったようです。

しかし、彼の進歩的な医術は他の医者や宗教家たちの反感をかったようです。 さらに、妻子をペストで失った後は諸国を放浪して未来予知などの特異な能力を身につけて、 伝染病の蔓延している町や村をまわって医療活動をしていたようです。 特に彼は伝染病の予防と感染防止について町の人々を教育し、 的確な処置をして時の国王に謁見を許されるまでになりました。

この時代には彼だけではなくてパラケルススやアグリッパといった「奇跡医」や「魔術師」が活躍していました。 彼らは貧富を問わず病人を直し、未来についての予言を行ない、奇跡的な技を人々に見せていました。

彼らに共通するのはローマ・カトリック体制への反発です。 中世ヨーロッパの宗教面の支配者であったローマ・カトリックは王候に伍するような世俗的な権力を持っており、 その世俗権力を悪用して庶民を苦しめる者が後をたちませんでした。 そのローマ・カトリックに対して「聖書に帰れ」と声高に攻撃をしたのがルターであり、 ローマ・カトリックが持ち得なかった種々の技術でもって人々に奉仕し、 人々の心をほんとうの宗教に向かわせようとしたのがノストラダムスやアグリッパでした。

しかしながら、ルターやカルビンの思想はプロテスタントとして広く世界に普及していきましたが、 ノストラダムスやアグリッパは一時かなり評判になっていくつかの書物を残したものの、 そのうちに一般の人からは忘れ去られていきました。 彼らが一匹狼的で教会や教団といった組織作りができなかったのが大きな原因であることは間違いありません。 しかし、それ以上に、彼らの魔術的、異教的な種々の技術が正統派のカトリックから徹底的に攻撃されたのが、 彼らのグループが世界的な流れになれなかった本当の原因だろうと思われます。

ともかくノストラダムスの死後、フランスはカトリック派とプロテスタント派が文字通り血で血を洗う争いを繰り広げ、 ブロア王朝は滅亡します。 そして、その中から勝ち残ったカトリックのブルボン王朝がフランスの絶対王政を推進して、 フランス文化を花開かせることになるのです。 実際問題として、ノストラダムスやアグリッパという人たちの存在がフランスや他のヨーロッパ諸国にどのような悪影響を及ぼしたのかは明らかではありません。 しかしながら、カエムワセトやノストラダムスのような著名な「魔術師」が活躍する時代にはノストラダムスの預言集に書かれているような戦争や疫病、天変地異や異常気象が起こることが多いようです。 これは、この後で述べるカリオストロ伯爵やブラバツキー夫人の時代にも当てはまります。


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