遠隔透視と未来予知

 遠隔透視は人間に普通に備わっている能力らしいが、それはかなり不正確な ものでなかなか実用にはなりにくいものだということをお話ししてきました。 ところで、遠隔透視にはもうひとつ大きな特徴があります。それは空間のみな らず時間的にも異なった場所を透視することが可能だということです。

警察部 長を努めたことのあるパット・プライスはビューアーが目標に着く30分前に その目標地点の正確な遠隔透視を行ないました。他の透視能力者でも未来にビ ューアーが着く地点の透視をかなりの正確さで行ないました。

 じつは遠隔透視とはその人が求めるイメージ、その人が求める情報をイメー ジとして思い浮かべる技術なのです。ですから、30分後にビューアーが行く であろう場所を見たいと思えば、その場所の未来のイメージが浮かんでくるの です。このことは未来だけでなく希望すれば過去をも見れるということを意味 しています。要するにその人が求めさえすれば、どのような時空点の情景でも かなり不正確ではあるもののイメージすることができるようなのです。

 われわれの通常の観念では時間は過去から未来へと一定の速度で一方向に流 れていると考えます。そして、現在の物理学においてもこのことは多くの場合、 前提となっています。しかしながら、このような前提は量子力学においては必 ずしも必要とはしないのです。また、相対論の立場においても光速を越える粒 子タキオンを仮定すれば未来から過去への情報の伝達を否定することはできま せん。くわしくは巻末の参考書などを見ていただくとして、現実に未来が見え ることがある以上、現代の自然科学も全知全能ではないことは明らかでしょう。

 未来予知は遠隔透視の延長であるということがわかってきました。というこ とは、未来予知にも遠隔透視と同様の問題点が存在するわけです。すなわち未 来予知はメンタルノイズによる影響を受けやすく、たいていは不正確なイメー ジとしてしか見ることができないのです。そして、その能力には個人差が大き く、その人の健康状態や気分に左右されやすいのです。また、透視能力者の集 中力はそれほど長続きしませんから、時間の流れにそって未来を見るというよ りも未来の1断面をかいま見るという傾向が強いのです。

 これらの問題点を克服するために古代よりさまざまなことが試みられてきま した。「心を無にせよ」というのはメンタルノイズを抑制する方法ですし、 「心身を清浄に保て」とか「正しい修法を行なえ」というのは集中力をより長 く持続させるための方法なのです。

しかしながら、普通の生活をしている人が これらの教えを完全に実行することは不可能なことです。ひとつの宗派に属し て山深い寺や修道院で修行を続けるか、あるいは俗世間を捨てて山奥に庵を結 んで仙人のような生活をするしかありません。そのような人達のみが正確な遠 隔透視、未来予知を行なえるのでしょう。普通の人が遠隔透視や未来予知を行 なっても、それは実用にならないくらい不正確で危険なものなのです。


事典エイト - 新興宗教への警告 - 第4章 未来予知の危うさ